●○排泄処分場○●

●○排泄処分場○●

↓・up・↓06.01.22

愛しき汚物


いつの日か娘は
羊の群れからはぐれてしまって
上手く笑えず鏡の中に
自分を捜せずにいたの

仮面じゃ何も守れない事
刃物じゃ何も切り開けない事
分かっていたのに
冷たい色だけ拾いあげて

自分を守る事に必死で
包装紙の中に自分を丸めて捨てました

あたたかな色を見落していたの
この世界がずっと続いてゆく気がして
いつかは消えてしまう今なのに
それを自ら芽を摘み取って
どうせ咲かない花と笑い
己の足で踏みつぶしました

上手い方法など知らないでいいの
いびつな足はそのままで
迷子のままでも歩く事をそれだけは
やめてしまいたくはないの

汚さを包み隠す醜さより
優しさを作り上げる賢さより
誰かがいつかの昔に作った正しさとゆう形に
自分の意識を食べられないでいて

誰にも伝わらなくても
誰にも愛されなくても
汚物まみれのその指が
あたしはとても大好きだよ





赤い花


ふれたい日々に届くこともなく
あいたい日々にあえることもなく
たりない日々を持て余すだけの
日常の色に目を閉じて
その扉の向こう側
脳みそ溶かして意味を無くして
遠い場所まで飛んでしまえたら

幻想の中で咲いた 嘘の花
妄想の中で色付いた 赤い花
意思を無くして枯れ果ててしまわぬうちに
この芽を摘み取って空へと投げるの

ゆきたい場所に届くこともなく
聞きたい音にふれることもなく
いらない物を持て余すだけの
日常の音に耳を塞いで
その扉の向こう側
瞼をとじて意味を無くして
遠い場所まで逃げてしまえたら

想像の中で生まれた 甘い夢
現実の中で染み込む 苦い味
感情吸い取られ干涸びてしまわぬうちに
この種を潰し土へとかえすの

痛みがやがて消えてしまえば
花はきっと枯れてしまうのだから





家畜ゲーム


ココロ塞いだ失語症のお人形は
作り物の紙芝居の中
乾いた瞳に涙うかべて
ただひたすらあなたの問いに頷くばかり

真っ赤な糸で縛り付けて
狂って壊して意思も思考も操るのならば
気紛れに差し出す蜜などやめて
最後まで糸は解かないでよ

鳥かごの中翼折られた小鳥は
作り物の青空の下で
さぁ自由に羽ばたきなさいなと
扉を開けるその指がとても冷たくて

小さな小箱に閉じ込めて
狂って壊して手足の自由を奪うのならば
気紛れに差し出す蜜などやめて
最後まで扉の鍵は隠し通してよ

腐りかけの甘い果実を頬張る
お口はとうに味覚を無くしてしまったの?





仮装パーティ


これは舞台の上の作り話で
痛みをともなうままごと遊びです
自らの意思などお構いありません
感情のスイッチ手元にはございません
真っ白な紙の上でよくできた
リアルな駒と化すのでしょう

文字の消えた世界
意味を無くした世界

はり巡らされた脳みその
迷路にこのまま迷い込んでみたい
嘘だらけの世界に身を任せ
欲望の海に溺れてしまえたら
迷子のままでも笑えるのかな

リアルな色に目を閉じて
瞼を縫い合わせた夢物語で
ナニガ生まれてナニガ残るの?

赤い嘘で塗られた悪い夢
醒めてしまえば何も残らぬニガイ蜜





↓・up・↓06.11.01

踊れぬダンス


善と悪のマーブル模様を
何の疑いもなくかき混ぜて遊んでいた
あの娘は何処に姿を消したの?

右と左と白と黒とが分離して
正しさが右へならえを始めたのなら
もっと言葉の意味を
遠くに飛ばして下さいな

この小さく固まった四角い頭では
中身の無い軽快なダンスも
軽やかに踊れはしないのです

軽やかさを失った途端
ただの視界を黒く染めてゆくだけの
その扉を開けてしまったら
この大きく膨らんだ空想が邪魔をして
愉快なリズムを殺してしまうよ

只一つの空っぽのお皿を差し出せないのなら
甘いお菓子を食す権利などないのです

只一つの道具を差し出せないのなら
手を延ばしてはいけないのです

心模様などいらないの
脳みその温度等いらないの
邪魔なものは真っ白くして
ネジの外れた玩具と化してよ

動いてしまえばさようならの
ゴミと化してゆくだけだもの





心中包装紙


言葉を包装紙で包み込んで
嘘にまみれたそのお口が
見ていて酷く痛いので
それならいっそ
口を塞いでもらえませんか

差し出されたものは
いつでもきちんと呑み込みなさいと
そんな幻想に取り付かれ
気持ちが悪いの 吐き気がするの

黒を知らぬ眼のふりで
濁り水に口つぐむ
そんなにその指が可愛いかい?

守り通す価値など何処に
あるとゆうのでしょうか?

それでもまだ洗い流す水を
ひたすら捜しているの

綺麗な指には一つも
傷をつけたくは無いと呟く
この身が結局一番愛しいのでしょう?

落とした物を拾うのはきっと
自分へのご褒美でしか無くて
優しい顔をしてあてもなく気紛れに
差し出すお菓子がとても苦いよ

守備にまわったこの指は
温度を無くしてしまったの?

結局手を汚さぬままで温いお湯に浸かる
自分が一番可愛いのでしょう?





願望の先の苦い蜜


僕は綺麗な花が好きだよ
意志など何も持たなくたって
花びら色付かせれば良いのだから
静かにお口開いて沢山の蜜を配る
この手を良い子に待っててご覧よ

君の名前は知らないけれど
君の悲しみ知らないけれど
刺は抜かずにもっと狂った様に
綺麗に咲いておくれよ

僕は言葉を持たぬ君が好きだよ
此処から動く自由はいらないのだよ

君が君でなくても水を求める花ならば
僕はいつでも蜜を運ぶよ

けれど花は枯れてしまったの
いいえ、花はとうに枯れてしまっていたの…





↓・up・↓06.09.28

空想ゾンビ


光が怖いと塞いだ瞼と
両手はとうに干涸びて
何も掴めぬ屍よ

全てを白に戻して
全てを捨ててしまえたら
何も怖いことなどございません

けれど役立たずなこの手でさえも
綺麗な色を求めているの

醜い奇形の花に美を
踏みつぶされるその血に愛を

何も欲しくはないなどと
赤い嘘の名の元に
限りを知らない願望は
けして満たされる事などなくて

一寸の狂いも許さぬこの頭が
全ての出口を塞いでいるのでしょう

生きたままに干涸びてゆく空想に
終着地点はございません





駒のないゲーム


ほつれたあたしの皮膚と頭の
縫い目を上手に縫い合わせて欲しいのに
めのないサイコロひたすら振り続ける
右手は何も掴めぬままに機能を忘れて
マスのない紙の上で遊ぶこのゲームは
いつまで続いてゆくというのか

物語の消えた絵本の破けたページを
無理矢理縫い合わせても何も生まれず
色のない塗り絵をずっと持て余しているだけで

粉々に散らばる欠片はとうに死にました
脳みそが干涸びたらもう終わりの合図
くるくる回る世界の色にお別れの唄を唄うよ

仮面の下にこびりついたその微笑がいやらしい
包み紙をいつまでそうやって
捨てられずに飾り立ててゆくというのか
一度溢れ出せば汚い汚物が止まらない

さぁさ道に迷ってしまったのなら
この小屋よって無様なサーカス見てきやしゃんせ
奇形の頭に花一輪 泥にまみれたその身体
生かすも殺すも御自由に
どうせ拾われぬ無能玩具
舞台の幕は下りません

いつまで続いてゆくの?
讃え拾い捨て蹴り落とし笑いのゲーム





赤い爪


赤いネイルが光るその腕が
最後に掴んだ物は一体何?

白粉はたけば終わりを迎えるような
そんな舞台の中の作り話かな

焦点をずらして見ないふりを続けていたら
ぬかるんだ沼に足をとられてしまったよ

今にも途切れてしまいそうな
細い縄にしがみつき自分の首をかた結び

呼吸を無くしてゆく時に
温度を無くした指先は何も掴めぬままに
赤い爪だけが綺麗に空しく輝いていて

瞼見開いて入り込む色と
汗ばんだこの皮膚から流れ出すメロディーを
一つも逃してしまいたくはないの

きっと温度を取り戻した皺だらけの指先から
紡ぎ出される物語はけして消える事無く
ずっと時を刻んでゆくの





↓・up・↓06.08.18

空白恐怖


今日の終わりのベルが鳴る
白紙の紙切れをずっと持て余したまま
結局一つも何も壊せぬままで

何処へ向かってゆきたいのか?
本当は何を欲しているのか?

飾り立てたその文字が
出口を塞いで邪魔をする

己の手で空いた穴ぼこ一つ
ろくに埋めれぬままに
無様をさらすこのカラダを隠す
小箱をどうかあたしに下さい

こんなにも広い球体の上で
只の一つも点と点を
結ぶ事すら出来ないのです

こんなにも沢山並んだ箱の中から
只の一つも探し物を
見つける事すら出来ないのです

もう此処には何もない

最初からきっと
何も失ってなどはいないのです
最初からきっと
何も壊れてなどはいないのです
最初からきっと
何も変わってなどはいないのです

箱の中で自由に笑えるものならば
夢の中で自由に踊れるものならば

落下してゆく身体と
浮遊してゆく意識の狭間で
現在位置を見失ったこの眼は

一体何を求めて明日の景色を迎えましょう…





時空迷子


かつて夢を描いた筈の
光が遠のいていって
なぞった筈の輪郭線が歪む

昔の色をまとったままのあたしは
そこでひとり膝を抱えて
回る世界を眺めてた

進んでいるのか 戻っているのか
分からないままに
時計の針はリズムを刻んで

夢から覚めた空想の中には
もう何もありはしないのでしょう?

なぞる線は世界を
徐々に歪ませてゆくだけ

埋まらないままの
ココロに空いた穴ぼこに
無理やり詰め込む甘いお菓子は
きっとすぐにでも
腐って夢を食べてしまう

空想世界に手をふってゆく
その腕に重なる事のない影を求める
この手は一体何を望んでいるの?

空っぽになってゆくあたしの歩幅は
世界のテンポと合う筈もなく

浄化されゆく意識の中で
容器と化してゆくこの身体を
一体どこへ運びましょう?





籠の無い鳥


差し出された空想を
あたしは上手に食べられないから
脳みその皮を一枚一枚剥いでいっては
汚い汚物をその腕に
ちゃんとそのまま
巻き散らかしてみたかったの

閉じたお口を開けば溢れ出す
歪んだ音がきれいな空気を奪ってゆく

目蓋を開ければ森の中ひとり
汚物を吐き出すこのお口が止まらない

夢を塗りつぶしたあたしへの贈り物
綺麗な包みの箱を開ければ
真っ白な紙切れ只ひとつ

時の流れはずっと静かに回りゆき
留まる事を知りません
どこまでも続く
終わりの見えない森の中で
たとえあたしが堕ちても浮かんでも…





↓・up・↓06.06.08

あかしろめ


染み付いたカナシミの色
干涸びた太陽の下で
何時になったら乾いてゆけるの?

張り付いた目蓋の裏側
のびきったテープのノイズ音
何時になったら洗われてゆくの?

止まらなくなるのは曖昧な紫
届かないのは嫌とゆう程分かっているのに
眠れないココロを忍ばせて
いまだ尚地面にへばりついたままの
お前をあたしはコロせない

眼が廻り白くなる
裏返し 半裏返し

ノドが塞がれ吐き出せなくなる
ココロ此処に ココロ何処に

もう終わりにしよう
早くお家へお帰りなさい…





六感不満足


眼から何かが流れ出しています
口から汚物が流れ出しています

不様な不様なその肉を揺らして
良い娘のお唄でも唄うつもりかな

全てが丸見えになる
全てが垂れ流しのこのアタマ

たどり着けない
地面の底にカラダを沈めて
六感不満足なあたし

同情心で満ちあふれた
介護なんて必要無いのだけれど…





回転停止世界


鏡の中からこちらを見ている
その眼に映る姿に何を
あたしは求めているのでしょう?
幻想抱いては迷い込んでる
それ以外何を見つめているのでしょう?

カーテンの外にはいつでも同じ顔が
ひたすら並んでいるだけで
夏の暑さも冬の寒さも
どちらも変わりはしないかのように
季節の流れも退屈なもので

扉の奥に手を延ばしては
ひたすら解体作業を繰り返してる
この手は何を探しているのでしょう?
空想描いてはふさぎ込んでる
この指は何を求めているのでしょう?

いっそ丸いも四角いもごちゃ混ぜになって
一度壊れてしまえば良いのに
開いた花や吹かれる落ち葉に
人々はきりとり線をひくのです
当たり前の顔をしては
きりとり線をひくのです





風船落下


風船どんなに膨らましても
穴ぼこに感情落っことしても
ただすり抜けてゆくだけの
同じ色した影と影が
重なる事も無く通り過ぎてゆくだけ

砂のお城を波にさらわれ
つんだ積み木を壊してひとり
ただ駄々をこねているだけの
娘を笑い飛ばすなら
廻る車輪は空回り噛み合う訳も無い

頭の中で宇宙を描いて
目蓋を閉じて眠りにつけば
あたしはあたしに戻ってゆける

入り口の無い箱の中で
出口の無い夢を描いて






白い手


人工光の向う側
冷たい刃物で切り捨てる
「優しさ」という名のお面を被った
その眼は何処を見ているの?

自己防衛の果ての果て
自分の影を抱き締めて
自己解剖の行き着く先は
空白だらけの解答欄

瞳の中に自分を映して
相手の事などお構い無しに
ぬるさの中で温度を無くした
その手は何を求めているの?

自己確認の果ての果て
無数の痛みを身体に刻んで
自己否定の行き着く先は
涙に溺れるナルシシズムか

涙の海に船を浮かべて
夢の島迄旅に出るの
帰り道など知るはずも無く
波の行方も知るはずも無く

はさみを上手に使うその腕は
いつまでも白さを見せつけているだけで
黒く塗りつぶされた視界の先など
お構い無しに明日の方向へと向かう

お砂糖まみれの夢を頬張る
奥歯にはいつでも大きな穴ぼこ一つ





裏返し


鳥かごの中で
自由に飛んで御覧なさいと
翼を無くしたあなたは言う

クレヨンの空に夢を描いて
飛んだ様な気分になっては
ほらすぐにまた裏返し
気紛れに画用紙回してみれば
宇宙の方へと落ちているだけ

白く白く洗い流せるものならば
小さく小さくしぼませて
その息の根を止めてやるのに
静かに何度も擦り合わせる程
大きく大きく膨らんで
あたしの頭を取り囲んでしまう

春には育った芽や実や花を
無邪気にあなたは摘んでしまうから
黒く染まったココロを込めて
ドライフラワーの花束を
干涸びた君の元へと送ります





↓・up・↓05.10.05

空中浮遊


水槽の中浮かび上がる
その脳味噌全て飲み干してみたい

気紛れに夢を与えてくれる
望遠鏡ならいらないの

目蓋を閉じて
痛みの無い夢ばかり見ていたら
質感の無い空想が
いつか意識を食べてしまうよ

その白線踏み越えてしまったら
光はやがて
溶けて消えてしまうのでしょうか…?





矢印


矢印の方向は
いつも悪戯にねじ曲がり
そこら中に散らばる
無数の方位磁石は
当然の顔をして
違う方位を示しているけど
何一つ狂ってなどはいないのだろう

たとえ明日になれば 回転してしまうような針に導かれ
夜の森に迷い込んでも
そう悪くは無いものなのでしょう

インクの滲んだ地図を片手に
その足は何処に向かっているの?
もつれた足で気紛れなステップ踏んで彷徨い歩く

曇り空の下傘を畳んで
次ふる雨にうたれて濡れてもかまいはしないの
傘じゃ到底さえぎれ無いなら
太陽の下干涸びるよりはましなくらいよ





↓・up・↓05.08.25

汚水排水


泥水はいつも当然の様に捨てられて
たとえそれに温度があろうとも
貴方は少しも構いはしないの

排水口の奥の方で
どんなに悲鳴をあげてみても
その無駄に大きい耳の奥には
到底届きはしないのだろう

不自然な色の炭酸水に騙されて
いつしか只の甘い水に
溺れて溶けてしまえばいい

太陽の下干涸びてゆく
茶色い花に分ける水などありませんよと

断わりも無く入り込んできては
片付けた部屋を散らかしてゆく





オブラート


嘘のダンスはもういらないの
それなら白紙の紙切れが欲しい

甘いコトバはもういらないの
それなら冷たい沈黙が欲しい

オブラートの中身は何も無い事
随分前から分かっているから
後はそれを舌で溶かして
上手く飲み込んでゆくだけね

目隠し外して海の底へ
目蓋を開けてリアルな日々へ
落とされればいい

一度溶けてしまったオブラートでは
苦い薬も隠せない

もう夢の中では踊れない…





砂のドレス


剥がした皮膚の下
あらわれたのは醜い肉の色

洗った筈の皮膚の中
漂うのは生臭いあの日の臭い

私から私が染み出してしまえば
あの娘はもう此処へは
戻ってきてくれやしないの

ダンスを止めた足は踏みつぶされて
ドレスを脱げばほら突き落とされる

銃口をこちらにずっと向けたままで
貴方が笑う 笑う 笑う…

穴の開いたビニール袋から
灰色の砂が溢れ出す
只砂だけが溢れ出す

カーテンを開けてみれば
全てが幻のように消え去っていて
何処迄も続く砂漠の上で
私はひとり立ち尽くす

泡ぶくの様に浄化されてく
真っ白い意識の中で
指の隙間から全てのオモイが
こぼれ落ちてゆく





↓・up・↓05.04.18

人魚姫


海の底で静かに眠る
紅い鱗の人魚姫
流れ流され沖にあげられ
目蓋を開ければ闇の中
月の灯りに照らされていて

光沢を放つ鱗は静かに剥がれ落ち
帰る場所など何処にも無かった
泳いでいたのはとうの昔で
どれだけ眠っていたのだろう

街には顔の無い行列が
何処までも遠く続いていて
目的地も無いままに
ただひたすらに進んでいました

あれだけ冷たく感じた風も
あれ程ほしてた水さえも
今はもう遠くに浮かぶ泡ぶくの様

硝子の破片を踏まぬように
丈夫な靴を仕立て上げては
何度壊してきたのだろう

ドレスに袖を通したその日に
娘は静かに消えていったの
分離してゆく細胞は
やがて溶けてカタチを無くし…





月兎


暗闇の中手探りで
地面を這っては出口を探す

わずかに照らす月の灯りが
こちらにそっと手招きするから
あたしはいつも手をのばして
夜の森へ迷い込み
貴方の仕掛けた甘い罠に
はまって何度も落ちてゆくの

穴を掘っては抜け殻埋めて
海の底までカラダを沈めた

感覚の無い皮一枚の皮膚が
赤い色に染まってゆく

麻酔をかけたココロをえぐって
痛みは無かった筈なのに
小さな刺がちくりと刺さるよ





欠陥少女


上手く動かぬ不良品の
足りないパーツはもういりません
無理に拾い集めた部品は
不自然な動きを作るだけで
少しも役にはたたないの

隙間の空いたパズルの
足りないピースはもういりません
無理に埋めた空白は
動きを制限してゆくだけで
カラダは重さをますばかり

いびつなカタチそのままで
未完成な唄を口ずさむ
熟さぬ果実を舌で転がし
奥歯でそっと噛み締めながら…





↓・up・↓05.03.01

脳内徘徊


喉の乾きに目を覚まし
ひとけの無い砂漠を歩く
ループしていた空耳が消えて
方位磁石の針が折れた

進んだはずの時間が回転して
最初の位置まで戻ってしまう

音も匂いも何も無い
ただ白い壁に囲まれて
えがくものが一つも無くて

涙も笑いも何も無い
ただ黒い闇に支配されて
壊すものが何も無くて

誰だか分からぬ人の名前を呼ぶ
私は一体誰なのだろう

温度も色も何も無い
寒さも暑さも何も無い

何一つ触れられない
これはまだ夢の続きなのでしょうか

刺された胸が痛く無いのは
きっと夢の悪戯なのでしょう

見えてた筈の景色が消えて
何も無い壁に向かって
ひとり貴方と交信している
何も無い空間で恐怖を殺せず膝を抱えて

貴方が消えて 痛みが消えて
オモイが消えて あたしが消えて

はいでもはいでも終わらない
覚めても覚めても終わらない

ここは一体何処なのですか…?





終点地点


蝋燭に息を吹き掛けて
消えかけた炎の中で
消えゆく事の怖さを知った

曖昧にぼやかした生命線で
ずっと続いてゆくと信じたかった

けれど灯りはいずれ暗闇に飲み込まれ
夜の排出物と化す

蝋燭は溶けてカタチを無くし
微かな残像と匂いを残す

ならば今静かに照らしている
小さな炎で解凍しよう

冷たい風が吹いた其の時に
心臓のリズムを思い出したの

暖かい風が吹いた其の時に
寒さと恐怖を思い出したの…





↓・up・↓05.02.02

戦争ごっこ


遠く離れてしまった世界に決別を
無駄な戦いならばもう
白い旗を掲げましょう

武器は只の重りに変わり
行くべき道をさえぎるだけよ

小さな箱の小さな戦で
消えてゆくものならば
宇宙に逆さ釣りになって迷子になれ

迷彩服の兵隊さんは
足並みそろえてまえならえ

やさしい皮を被った
其の腕冷たく救出劇

武器を捨てた娘は今日も
月夜の光に「いないいないばぁ」

所詮全てはゴミ箱の中の戦争ごっこ
眠れない夜がくだらない





さかさま


重なる景色にあたしはもう
戻る事が出来なくて
ずっと壊してきた枠に
あたしをどうか連れ戻さないで

逆立ち歩きに慣れた手足は
きゅうにまっすぐ歩けない
どちらが逆さまなのかすら
もう既に分からないから

本当はきっと角度も何も
ありはしない筈なのに
押し付けられた定規を
折れずにいるのは何故なのですか?

ただ温度さえどこかに残っているのならば
他には何もいらぬ筈なのに
「あたしの道具箱には何も無いよ」と
震えているのは何故なのですか?

上下左右の世界を
斜の位置から覗く事が出来たのならば
記号まみれの世界の中でも
絵具を混ぜて遊んでいたいよ





水面下


許される色が他にもある事に
目を塞いでいたのはあたし自身で
記号の奥にちゃんと色がある事
閉じた目蓋で見落としていたの

泥にまみれた腕がとても眩しかった
垢を落とした指がとても冷たかった

水面に浮かび上がらず
海の底で眠る温度に
気付かぬままに

水面に映る姿におびえて
扉を開けた時にはもう
其処には何も誰もいないよ





↓・up・↓05.01.23

廃虚の街


灯りはとうに消えているのに
いつまで其処に座っているの?

かつての輪郭線をなぞってみても
もう何処にもたどり着けなくて
帰れる場所が何処にも無かった

ほどけた糸の結び方も
鏡にうつる自分の姿も
未だに少しも分からぬままで

箱の中身をかき混ぜて
残像に手を伸ばした途端
この街も廃虚と化してしまうのだろう

皮を脱ぎ捨てたのなら海の中へ
浮かんでいたいよ
ゆらりゆらりと





記号


いらない記号が多すぎる
いらない記号が支配する世界

錯覚・見せ掛け・安全策

記号は全て只の文字になって
剥がれて消えてしまえばいい

いっぱい身につけた武器は
貴方の弱さのあらわれでしょう?

いらない言葉が多すぎる
いらない言葉が支配する世界

地位と名誉と護身法

言葉は全て只の音になって
意味を無くしてしまえばいい

武装された其の腕は
鋭い刃物を待っているの?





シカクイアタマ


狂ったはかり 折れた定規
壊れかかったスクリーンは
色を正しく映さない

音階のずれたピアノ
音符の消えた楽譜
調教されたエリートは
音の遊戯で遊べない

壊れたピアノに慣れた少女は
泥にまみれた電波を送り
奇麗な水を濁らせた

泥で上手に遊べぬままに
横目でピエロを追いかけながら





迷い子


報われぬ花 報酬の無いままに
開かぬ花びら千切れたり

温度の無いコトバは届かぬ記号
無機質な肌で触れられない

消えゆく娘はどこえゆく
白粉まみれの肌の下へ
隠れて迎えを待っている

人工塗料を剥がせぬままで
席を無くした道化師は
逆立ち歩きでどこへゆく

乾いた空気に慣れた娘は
傘で雨を遮って
冬の寒さを忘れてしまう

濁ってゆく水たまりは
世界を正しく映さない

割れた鏡に姿を映して
歪んだお歌を唄ってる

赤い目隠ししたままで

紙切れ一つも千切れぬままで





↓・up・↓04.08.12

接触不良少女


機械的なセリフが宙を
凄い速さで飛び交ってゆく

頭の中ではいたずらに
娘が脳味噌ごちゃまぜにして
電源スイッチOFFにする

渦を巻いてゆく瞳
停止した世界が回って
愉快なダンスを踊り出す

  「キ」   「エ」   「イ」   「ト」
   「コ」   「ナ」   「オ」

ラララララ…

「ボ」   「ケ」   「ク」   「カ」
     「ヤ」   「テ」   「シ」   「イ」

ルルルルル…

記号的な文字が地面を
凄い速さで這ってゆく

頭の中ではいたずらに
娘が部品バラバラにして
自爆スイッチONにする

渦を巻いてゆく瞳
停止した世界が回って
奇妙なダンスを踊り出す

  「キ」   「エ」   「イ」   「ト」
   「コ」   「ナ」   「オ」

ラララララ…

「ボ」   「ケ」   「ク」   「カ」
     「ヤ」   「テ」   「シ」   「イ」

ルルルルル…





↓・up・↓04.07.07

同色小箱


小さな箱の扉を壊して
自由になったつもりになった
けれど気付けばまた箱の中
違う色を求められてる

箱の中身は単色と化し
お互い色を殺し合ってる
そのうち違和感すら消えて
すっかり染めあげられてしまうのだろう

内から生まれた色なのか
外から塗られた色なのか
そんな事は曖昧にして
気付かぬふりをした人の勝ち

耳をすませばすます程
世界はどんどん遠くなって

目を見開けば開く程
おさまる事が出来なくなって

匂いを嗅ぎ分ける事なんて
きっと誰も望んでいない

演じきった人の勝ち…

騙されきった人の勝ち…





↓・up・↓04.05.03

踊子


嘘にまみれて汚れたドレスと

重くてきついトウシューズ

裸足で歩けば傷つけられて

靴を履けばぎこちなくて

あたしは上手に踊れない…





気狂いピエロ


上手くパズルにはまれなかった
君はみんなの見せ物なのね

気狂いピエロ 気狂いピエロ

縫い合わせたばかりの傷口も
呆気無く解かれて
空っぽのカラダがゆらゆらと
闇の中に舞い戻る

スーツに身を隠した大人達は
遠い場所からトゲを刺す

上手く色を隠せなかった
君はみんなの笑い者ね

気狂いピエロ 気狂いピエロ

見つけたばかりの出口も
呆気無く塞がれて
空っぽの頭にぐるぐると
汚いオモイが駆け巡る

化粧で素顔を隠した大人達は
遠い場所から唾を吐く





↓・up・↓04.01.03

化石少女


硝子ケースにしまわれて
化石と化した女の子
臆病なココロ籠にしまって
鍵をかけたその日から

「世界が遠くなってゆきました」

空っぽの頭にリボンのせて
醜いココロはラッピング
人工的な色の下から汚い色がしみ出しているよ

深い森に迷い込んで
顔をなくした女の子
臆病な腕に手錠をかけて
自由をなくしたその日から

「視界がぼやけてゆきました」

空っぽのカラダに布をまとい
汚いココロはラッピング
笑い顔のお面の下から
醜いオモイがはみ出ているよ





↓・up・↓03.11.08

万華鏡


使い物にならなくなった仮面の残骸
山をつくり扉の門をまたげない

望遠鏡から見える光に手をのばしても何も掴めず
体内を駆け巡るのは真っ黒い闇の宇宙

人工的なプラネタリュームをつくり出しているのでしょう?

空になったカラダの抜け殻
消える事なく宙をさまよい
鉄の鎖をくぐれない

万華鏡から見える景色にあたしの頭は追い付かず
脳内を駆け巡るのは灰色の悪夢

人工的な花模様をつくり出しているのでしょう?





蜘蛛の糸


鮮明な糸を見失って
くだらない糸くずかき集めては
思考回路を絡めていました

あたしは黒い闇に捕われて
ココロの奥の深い沼に
足をとられて溺れてゆくの・・・

繊細な色を塗りつぶして
汚い色を吐き出しては
綺麗なモノを傷つけました

あたしはいつも影さがし
ココロの底の乾いた土に
水をすわれて乾いてゆくの・・・

首輪の鍵を見失って
丈夫な鎖で縛りあげては
空気の出口をふさいでいました

あたしは常に光を求め
ココロの中の大きな森に
迷い込んでは落ちてゆくの・・・





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