●○排泄処分場○●

●○排泄処分場○●

↓・up・↓08.10.10

月の裏側


月の裏側には真っ黒い影ひとつ
何処までも続く夜の闇が
星の光を映し出してくれるように

その裏側にはあるの あるの
たしかにあるの
悲しみの裏側にはあるの あるの
ちゃんとあるの

いいえ表裏なんて分けられないくらい
そのすぐ近くにあるの
光と影が手を繋いだ日
それは特別変わったことではなくて
当然に光の中に闇はあって
闇の中に光はあったの

空っぽのお口は知っているの
美味しいと感じる舌はまだ
死んでしまってなんていないから
満たされた手足よりもっと
嬉しい気持ちを知っているの

太陽の下には真っ黒い影ひとつ
雨の後の水たまりが
太陽の光を映し出してくれるように

その隣にはあるの あるの
たしかにあるの
悲しみの隣にはあるの あるの
ちゃんとあるの

悲しみと喜びが手を繋いだ日
それは特別変わった事ではなくて
当然に悲しみの隣に喜びはあって
喜びの隣に悲しみはあったの

空っぽの心は知っているの
嬉しいと感じる心はまだ
死んでしまってなんていないから
満たされた心よりもっと
喜びの唄を知っているの





命の食べ残し


ほんとはね ずっと
そこに居たかったのに
土の中ずっと
そこに居たかったのに

知らぬ人の手は
ある日突然
何処からともなくやって来て
断わりも無く

私は引っこ抜かれた
私は引っこ抜かれた

小さな命を奪うだけ
奪ってそのまま
ほったらかしの
お皿の上で目に見えない
血を流しながら泣いている
血を流しながら泣いている

残さないでよ
殺さないでよ

この命奪うなら最後まで
きちんと召し上がれ
美味しさ噛みしめて
さぁ召し上がれ 召し上がれ

召し上がれぬなら
僕の身体を土へと帰してよ
僕の心を土へと帰してよ

土へと帰してよ
殺さないでよ
殺さないでよ…





答えの無い問い


信じる心は
時に何かを壊すかもしれない
本当の気持ちは
時に誰かを傷つけるかもしれない
嘘つきな唇は
時に誰かを救うかもしれない

そうはいいきれない
けしてどちらともいいきれない

正解は一つじゃ無いから
答えは見つからなくとも
歩いてゆけるの この足は
何処にだってゆくこと出来るのよ

「大丈夫きっと大丈夫」
理由なんてものは無いけれど
心の声がそう言った

「大丈夫もう大丈夫」
意味の無い海を
何処までも私は泳ぐんだ

明日が見えないから
私は何処へでも飛べるんだ

今歩ける足があるから
今喜べる心があるから

「大丈夫きっと大丈夫」
明日は晴れるさなんて
無責任な言葉じゃ無くて
雨でも私は歩いて行こうと
そう思ったんだ

先の見えない
海を何処までも泳ぐんだ
いつか笑って土へと帰れるように
今を踏み締め歩くんだ
いつか笑って空へと舞い踊れるように
今を噛みしめ踊るんだ





↓・up・↓08.07.16

コトバナキオト


あの日暗闇の世界から
私は泣きながら生まれました

最初に見た光のことは
もう忘れてしまったけれど

この目は見ました この世界を
二つの眼で見ていました

意味の分からない 人間の声
でも何故かそれは 心地よくて

意味をなさない 人間の言葉
でも何故かすごく 悲しくて

それは言葉になる前の
コトバナキオト

コトバナキオト
コトバナキオト
コトバナキオト

「あぁああぁあ
 ぁああぁああ
 あぁああぁあ
 ぁああぁああ」

いつから遠ざかってしまったのだろう

気づけばこの固くなった四角い頭は

「正しさ」だとか「正解」だとか
そんなことばかり探そうとして

すぐにまた分からなくなってしまうんです
大切にしたいと願う 感覚の音を

聞こえなくなってしまうんです
意味を探そうとした私は
言葉に入口を塞がれて

楽しいことに笑えなくなってしまったら
悲しいことに泣けなくなってしまったら

脳みそを少しかき混ぜて
触れてみたいと思った

最初の最初に聞こえていた
「感覚の音」

私が大きくなる少し前
幼き頃に見る事が出来たその世界
「感覚の世界」

そのコトバナキオトに…





視界の先をのばしたら


つまずいて泣いた昨日
眠れない今夜
過去の記憶がぐるぐる回る
今のボクの可能性を置いたまま
動けなくなってしまう今日

泣いても 笑っても
踊っても 憎んでも

「どうせ一億年後には
古い歴史さ」
そんな事は分かっていても
今のボクには止められない
苦しさ此処にこびりついているよ
それが今のリアルだとしたら?

でも憎いあいつも
昨日あそこで転んでた
僕と同じように
あそこで転んでた
  同じ人間で

同じ未完成でいびつで
不完全で矛盾だらけの人間で

まぎれもなく同じ人間で

「そうさ一億年後には
みんな光の中
姿も形もありはしない」

「可愛いあの子も
憎いあの人も
一億年後には
骨すら無い
空の上さ」

ならばボクは
一億年の中のほんの少し
今を生きてみようかな
今を息してみようかな

視界の先をのばしたら
少し景色が開けて見えた

夏の蒸し暑い
そんな日に…





↓・up・↓08.07.08

飼い猫


磨いだ爪を立てながら
私ひどく飼いならされていたの

あなたが作った約束事の糸
解く事に精一杯で
私は私が見えなかったの

小さな囲いを外された私は
方位磁石を失った ただの飼い猫

あなたの「正しさ」に
必死で「誤り」を塗った
そんな人工塗料はもういらないの

私は私の「正しさ」を
見失わない為に生きてゆく
そう思ったんだ

だからもう
その小さな箱は踏みつぶして
探すんだ 大切なもの

鼓動のリズム 魂の音
奏でてみたい 言葉なき音
生まれた時 赤子は泣いていた
言葉なき声で泣いていた
最初の最初に知っていた筈の
感覚の音
そこに無駄なものは
なかったのに
どうしてこんなに
遠ざかってしまったのだろう

ほらもっと奥の奥
耳すませ 目醒ませ
耳をすませば
形なき何かが
音なき音がちゃんと

渦巻いている
泣叫んでる
留まっている
笑ってる

それをすぐに忘れてしまう
私はなんて頭が悪いのだろう

答えを探し歩いた森の中
出口のない迷路に独り迷い込んだ
ふと自分の胸に手を当てれば
囁くような声がぽつりと
「出口は私の中にある」
そう気づいたんだ





汚物は時に美しく花は時に醜いように


誰かが作った幻想の正しさを
飲み込めずに吐き出した
汚物を横目に
あなたはそれを汚いと言った

けれどその汚物で育った花を見て
あなたはとても美しいと言った

例えば乾き切った花畑の中
最後の水を吸って
何かを奪って咲いた花を
そのことを知っても
花はいつでも美しいのだろうか?

汚物は時に美しく
怒りは時に優しく
花は時に醜いんだ

私はそうゆう世界しか
信じる事ができないのです





むすんでひらいて


帰らない 帰れない
選べない 選ばない
もうそこには戻れないのです

息を殺してしまう
その囲いのせいで
縮みこんでしまえば
感情の落とし物

気づかず 盲目の追いかけっこ
必死に追いかけていた
きみが気づけば もういない

盲目のかくれんぼ
必死に隠れてた
扉を開けば
変わり果てた景色
そこにはもう 誰もいないのに

手を空にかざしてみれば
遠くのびてゆく影が
少し触れられそうな気がした
懐かしい土の匂いのその先に…





意識の反射光


退屈に一つあくびをしたボクに
世界は一つあくびを返したんだ

ただそれだけのこと
そうそれだけのこと

評価を過剰に求めた私を
世界は鼻で笑ったんだ

ただそれだけのこと
そうそれだけのこと

求めて 届かなくて
望んで 望まれなくて
出口が見つからないなんて思ってた

人に評価を望んだあの日から
抜けだせなくなった迷路は
気づけば誰のために歩いているの?
手に握られた地図はもう古くて
あてにはならないし
私は私を忘れ去ったまま
誰かに歩かされていたのです

迷路の途中でふと見上げれば空は晴れ
私は私に語りかける事
少し忘れていたから
空がこんなに晴れている事にすら
気づけなかったんだ

道端に咲いている花を
平気で踏みつぶしてしまう程
見えなかったのです
数ミリの視界の先は…
道の外には無数の
道なき道果てしなく
どこまでも…

抜け出そうとしてたこの森も
そんなに悪くはないのかもと
わざと迷いこんでみたりして
ちぐはぐのまま踊ってみたの
互い違いの色の靴で…

息を吸い込んでは吐いて一息ついたら
森の中でも私笑うこと出来たんだ…
先の分からぬ森の中で今を笑う…
矛盾だらけで不完全な
不釣り合いで未完成な
今を私は笑うんだ…





ふりだしの芽


誰の為に歩いているの?この足は
その大きな背中に触れたくて
背伸びして歩いたあの頃
ヒールの高い靴をはいて
高い所にのぼりたかった
きれいな景色が見たかったんだ…

つまづいて ころんで
  ふりだしの所まで逆戻り
誰かと競ったおいかけっこは
勝っても負けても
なんだか後味の悪い
虚しいゲームね

私を無くした戦いは
まるで試合を放棄したも同じこと
さぁ 負けるなら早く示してしまえば?
自分に対しての降参の白旗を

相手に評価の基準をゆだねたら
ねぇ 私の脳みそは
何の為にここにあるの?
歩くならちゃんと
自分の為に歩きたいのです

だって自分の中にあるんだ
本当に大切にしたい花の種は
そのまま眠らしてしまっては
もったいないから

私はまだ眠れないのです

相手に沢山を求め過ぎたら
ねぇ 私のこの腕は
何の為にここにあるの?
ちゃんとこの腕で
自分を掴めるように
見失ってしまいたくは無いのです

だって自分の中にあるんだ
本当はもう色づきはじめてる
花のつぼみが
そのまま放棄してしまえば
開くことなんて無いよ

だから私はまだ終われないのです





↓・up・↓08.06.09

冬に咲く花


上手く道を歩く方法が分からなくて
とぎれた糸の先に希望が見えなくて
空洞になった私のカラダは
あの日泥にまみれる事を望んだ

痛みの中にしか息してる事を
確かめる術が無かったとしたら
それを間違いとゆうこと
誰が出来るとゆうの?

光は眩しくて遠すぎるから
きれいなものには触れちゃいけないんだって
壊したく無いから 汚したく無いからって
塞いだんです その行き先を

でも本当に守りたかったのは…
本当に壊したく無かったのは…

私は私を守りたかったんだ

壊れる前に壊して無くして
塗りつぶしてしまわないと
壊れてしまうのが怖かったんです

だから先回りして 壊して
落とされる前に 落として

でも本当にゆきたい場所はそこじゃない

本当はただ糸を結ぶ術を歩く術を
知りたかっただけ…

だからもう守る事はやめて
届かなくても届きたいよ
辿り着かなくてもかまわないから
歩いてみたいよ この足で
もう重たい靴は脱ぎ捨てて

光を望んでいけないことなんて
ありはしないの
咲いてはならない花など
ありはしないの

そのままの形と色で
どの花も咲いていたんだ
笑っていたんだ
生まれた時
ちゃんとそこで息してたんだ

育ててしまった不安の種を
一度洗い流して
思い出してみたいよ

光を最初に見た時の事
冬に咲いたってかまわないから





感情の芽


その感情は
きっと名前すらもたない
その感覚には
きっと意味なんてないの
逆さまに覗いたって
種も仕掛けも見えやしないわ

四角い頭の
大きくなったあたしは
いつも意味を見つけたがる
そんなものどこを探したって
見つかりはしないよ…

そうそれは音も無く弾け飛んだ
迷い込んだ 迷路の途中で
とくべつ答えなんていらなかった
とくべつ理由なんていらなかった
ただそこに居たかった
ただ暖かいものを信じたかった

それだけが答えだったあの頃

いつから擦り切れてしまったのだろう
この靴は
いらない物ばかり拾い集めて
動けなくなったカラダは
お飾りはずせば悲しい程に空っぽで
大好きだったあの娘の顔も忘れてしまう程に
遠ざかってしまった

辿り着きたい場所はそこじゃないのに

つくった箱から抜けだせないんだ
ここにはもう何も無いのに
今の現在地点を抜け出さなくちゃ

もう一度思い出すんだ
最初の最初に描いた夢と
最初の最初に抱いた想いを

忘れないで遊んで
忘れないで歩いて
道の外でも 冬の海でも
花は必ず咲くって
そう思うから





↓・up・↓08.05.13

心中再生


真っ赤な真っ赤な木の実が甘い香りを漂わせ
小さな小さな木の芽が色付いてゆく春に
一つ二つ…見失った
木の実が落下してすり潰れた日

その実を踏んでしまったのは
厚さのましたこの靴で
ガラスの破片を踏まぬように
守ろうと仕立てたこの靴が

リアルな土の感触を
遠ざけてしまっていたのです

左右不対象のいびつな形した木の実や
剥がせど剥がせど実の無い果実を
一つ二つ…数えてゆっくり噛みしめた
味わえる事の喜びを
忘れてしまったのは

全部きちんと呑み込もうとしたこの舌で
苦さを噛みしめるとゆうことを
不味いを吐き出す感覚を
殺そうとした日から
全て飲み込めなくなってしまったんだ
美味しそうなふりしても最後には
結局全部吐き出してしまった

大切なものまで全て
味が分からなくなってしまったんだ

汚いものに目を塞いで
空想と手を繋いだ日
入口に鍵をかけてしまったのは
現実から「私」を守ろうとしたこの手で
同じ考えが頭を廻る
「私は誰なのか」「あなたは誰なのか」
「ここは何処なのか」
「見えない」「真っ暗で」
「なにも」
「人間の呼吸が見えないのです」

出口の無い森に迷い込んだ
小鳥は飛ぶ事を忘れてしまって
真っ白い翼を折ってしまったのは
きっと自分自身で
そこで「私」は成長を拒んだ

忘れないでいて
飛べる翼があるとゆうこと

忘れないでいて
歩ける足があるとゆうこと





否重力服従歌


林檎が重力に従いすり潰れた日
鈍い音の後で育てた筈の知識や知恵が

すべて意味を無くしてしまったんだ

形の変わってゆく正しさとゆう幻想に
飼いならされた良い子の僕は
今日の苦さを噛みしめて
まだ見ぬ明日の為に
生きて来たというのに

私の好きなあの色は
顔の見えない誰かの為に
死んでいったとゆうのか

何も知らないふりして
何も見えないふりして
意識が遠く溶けていった日
この心に覆いかぶさる
世界の膜を打ち破る為の
爪をどうか折ってしまわないで

いつまで小さな箱の中
上手な歩行の術を習って
呼吸を殺して生きてゆくの?





リアル


満ち足りている筈のこの国で
今心が乾いて水を欲しています
欲しいものだって
ボタン一つで手に入る時代さ
そうやってどんどん空洞になってゆく僕の
現実からいつからか
リアルさが抜け落ちてしまったんだ

表面的な言葉に操られ
内側を見ようとしなかった僕は
せっかく出会ったあたたかなものと
すれ違ってしまった
自分を守ることに必死だったから
重なりあわぬまま
通り過ぎてしまったんだ
守るものなんてなにもなかったのに

あたたかなものに触れた時
懐かしい匂いの
好きな温度を思い出すと
のどの奥があつくなる
感情が熱をもってこぼれ落ちてとまらなくなって
意味なんて無いそれは理屈じゃなくて確かに
こころが生き返る瞬間は

様々な形した花が
そのままの色して生きてゆける世界
今忘れないようにここに記しておこう
すれ違い様名前も分からない
泥に塗れた花を笑ったりしないで
いびつで不器用な方法しか分からないけれど
伝えようともがいてる
荒削りでもやめてしまいたくは無いのです
思い出して
好きな色や大切なもの





感情浄化作用


あの日カーテンをあけて
眺めた外の世界は薄暗く
雨降りの空は冷たく
濁った水たまりには
歪んだ大人の顔が
愛想笑いを浮かべていました

鎧で身を固めた人間たちが
甘いお菓子を片手にこう言うんだ
いつまでも聞き分けの良いいい子でいなさいと

テープで口をふさいで目隠しを
目に見ないで歩く方法を
教科書に書きつらねて
頷く方法を教えてくれました

このままでは脳みそに
洗脳とゆうなのカプセルを
埋め込まれてしまう
そう察知した娘は
そっと誰にも気づかれないように
ごく自然にけれど確実に
扉に鍵をかけたんだ

いつしか開けるための
鍵をなくしてしまうだなんて
思ってはいなかったから
すぐに戻れるのだと思っていたんだ

自分の首に手をあてて強く握りしめた
それが自己否定の始まりだったの

靴の無い娘はとげだらけの花の上を
血まみれで歩いてたけれど
傷だらけの足は暖かく
けして温度を失ってはいませんでした
この足で歩くとゆう強い意思が
足跡から芽をはやし花を咲かせたのです

目隠しを持たない娘の眼は涙に濡れ
分厚く塗られた化粧をはがした
汚いガラクタだらけの街で
わざと焦点をずらして
見えないふりして歩いて
装飾品ばかりがふえていった
娘の足取りは重く出口は少しも見えなくて
一人途方にくれていた

誰かのために咲くのではなくて
内から生まれる色は
まだ死んでなんかいないから
にじみ出て溢れ出てしまう色を待つんだ

昔に塗った人工塗料が剥がれて
かすれてしまっても
ただ溢れ出る色を待っていよう

花が色づきいつか
自分と自分が出会えますように

すれ違いざま昨日の物語すら分からない
人間の芽をむやみに殺したりしないで
まだ見ぬ明日の種を
どうして潰す事が出来るとゆうの?
潰さないでゆっくり

過去のあたしが教えてくれたこと
あたしの好きな音と匂いと色とを
今のあたしが忘れていたものは
一つ一つを大切に育てる気持ちで

風のおとに耳をすませば
あたしはあたしにもどってゆける

上手な嘘で塗り固めなくても
最初の姿へ戻るだけ
消えてしまったりはしないから

ぶかぶかの靴はなくても
歩いてゆくことできるよね
吸い込んだ息を吐き出す方法が
分からなくなって
そうやって息を殺さなくても
見える世界は…





↓・up・↓08.01.05

表面理論


頭で考えて筋の通った正論を片手に
戦いの場所へと向かった
それはとても合理的で
一見筋の通った理論かのようだ

けれど過去をなぞったり
道徳をなぞったり

正しさについて考えた頭は
心の模様を無視したまま
自分の世界だけで
理屈ばかりを育ててしまった

ここはとても息が苦しいだけの
正論の世界

けれど無視のできない感情は
やがて吐き気となり
違うとゆうこと示すから
手を羽ばたかせ
頭を飛ばしてみれども
私の足はもうじき
地面の底へと埋まってしまいそうです

それはけして理屈ではなくて
現実としてのリアルな現象

足の重さや心の軽さを
もっと無視してしまわないで
頭で考えて分からない答えが
そこにはありました

頭が欲するその場所からはもう
色が抜け落ちてしまったんだ

戦いの武器はもう錆び付いてしまって
いいえ最初から武器なんて
持ってはいなかったのだけれど
武器を捨てて戦いをやめた後も
戦っていないふりの戦いを
わざと負けてみせる戦いを
いらない事と知りながらも
続けていました

違う価値観の世界から解放されずに
私自身留まったままで
動けなかったんだ

大切なものに目を閉じたままで
どうか感情が乾いてしまわぬうちに
行き先の分からぬ旅に出てみたいのです

方角が分からぬ海に船をうかべて
ただ感覚がおもむく方向へと
船を進めてみたいのです

波の流れに逆らうでもなく
自分の時間で艪を漕いで





温度のわすれもの


冷えた指先にふいに触れた指先が
ただ暖かいと思った
そのことを
いつからか私は忘れてしまって

重なり合う二つの影を
汚れたものとして目を塞いだ

欲に塗れたニンゲンの
混ざり合わない嘘と嘘
解けたままの糸と糸
重なり合わない意識と意識

空っぽのお口は無様に唾液を垂れ流し
お腹は少しも満たされないけれど
嘘に塗れた甘いお菓子を
食す方法なんて分からない

どこかに入口を探せども
どこにも入口が見つからないのです

ゆっくり流れる時の中で
動いた感情があったこと
景色が変わってゆくたびに
動いた心があったこと
一つ一つの変化の中で
それはたしかに揺れていたんだ

目隠しのない世界
裸足で踊った丘の上
そこには入口がありました

違う形の違う色した者同士が
殺し合わないで済む世界
そこに生まれたマーブル模様を
どうしたら汚いなんていう事が出来ましょう?

そこに生まれた新たな色は
たとえ未完成な形をしていても
いびつな形さえ愛おしく思えるだろう

この固まった四角い頭の一つくらい
容易く飛ばしてやれるくらいの
水と油の化学反応を
確かにこの目で見たのです

砂漠に湧いた幻想の水を
それがたとえいつか消えてしまう
蜃気楼だと知っていても
信じてみたいと言った
その事を人々は笑ったけれど
私はすごく美しいと思った

それは砂漠の蜃気楼で
本当に咲いた花のお話…





さがしもの


「ただいま」扉を開けると
散らかった小部屋に雨もれの雫
染み付いたシーツの染みが
なんだかとても懐かしい匂い

私は道の途中で
空っぽの鞄に気がついて
住み慣れたこの部屋まで
忘れ物を取りに帰ってきたのだけれど
この部屋にはもうそんなものはないようで
これも違うあれも違うって
捨てていったら
とうとうこの部屋も
空っぽになってしまったんだ

忘れ物はどこにある?
壊したものを組み立てる
部品がどこにもみつからないんだ

落とし物はどこにある?
汚したものを洗い流す
お水がどこにも見つからないんだ

昨日を探してみても
一昨日を探してみても
どこにもそれは見つからなくて

それじゃあきっともっともっと遠い昔
ずっとずっと前かもしれないって
過去を探してみるのだけれど
いつを探してみても
やっぱりどこにも見つからないのです

そのうちまた朝を迎えて
私は空っぽの鞄を手に
昨日を上手に片付けきれぬままに
また違う今日が始まってしまうのです

捨てる事のできない
昔の記憶が錆び付いて
古くなって動かなくなった歯車が
重たくなってしまったなら

剥がしてもっと
塗り重ねられた沢山の嘘を
解いてもっと
絡まった糸を捨てて
たとえ透明になってしまっても
奏でるなら内から生まれる音がいい

「おはよう」夢から覚めた朝
カーテンを開けると雨降りの空
私の鞄は空っぽのままだけど
行ける所までこの体一つで歩いてみるんだ
立ち止まっても構わないから
見つからなかったもの
いつか見つけることが出来るように
歩いてゆきます
雨降りの空の下で





↓・up・↓07.11.28

白い旗の先


「軌道修正」それは元いた場所へと戻る事ではなくて
道の外でもちゃんと私の足で歩くとゆうこと

「味覚の復元」それは美味しいものを欲すると同時に
不味いものをちゃんと素直に吐き出すとゆうこと

混ざりあわないことを当然として
黒は白を知ることを諦めて
白も黒を知ろうとはしなかった
だから狭い容器の中互いに警戒の糸を切れずに
塞ぎ込んで目を開けずに
結局分かりあえないままだ

はぐれた道の途中で昔見た風景と重なる景色を見た
けして近づくことはないけれど
今はそんなに拒否もしなくて
それはただ戦うことに疲れただけの事なのか
白い旗の先はしっかりあの頃の血で染まり
いつか花は咲くなんて甘い言葉は
あの頃の私は笑うかもしれないけれど
今雨は小降りになってひとまずやんだようです

明日には必ず朝はやってきて
この薄暗い部屋を照らすけど
私の足は歩き始めても
意識は昨日に置き去りのままで
まだそこにはゆけないのです

それでもいつか白い旗を染めた赤い血は洗い流され
花が咲くこと願っています





廻る回る


嘘つきな唇が真っ赤な言葉を吐きました
混ざりあわないスープの中
浮いた油は混ざらなくても生きてゆけるから
あたしはひとりで歩けるのだと
強いふりして折れそうな枝にすら
あたしは寄り掛かってた

自分の穴ぼこ見ないふりして
鏡をたたんでしまったの
空気一つなければ生きてゆけないくせに
何もいらないようなふりして
引っ掻いて傷口作っては息してることたしかめて

縫い合わせた瞼はどうして
きれいな景色を忘れてしまったの?
昔たしかに見た筈の
大事な温度や季節や夢や悲しみは
どこで姿消してしまったんだろう?

縫い閉じられた絵本の中で
今あの娘は泣いているって
雨に濡れて滲んだインクが
いつまでたっても乾かないのです
雨はとっくにやんでいるのに
少しも乾いてはくれないのです

もう一度縫い合わせた糸の先をほどいて
汚れて破けたページの先に
新しい色を塗ってみたいのです

もう一度擦り切れてしまった靴を脱いで
裸足で土を踏み締めてみたいのです

けれど記憶は繰り返し
冬がくれば秋を忘れて
春がくればまた冬を忘れてしまうのだろう

何度でも積んで崩して
作って壊して遊んでいたいのです
心に色塗って洗ってまた塗って
遊ぶことをやめてしまいたくはないのです

いつか生まれた土へと笑って帰れるように…





消せない解答欄の文字


いつもそう解答用紙の解答欄は
最初から決められていて
本当の答えでは無い答えを
書き込んでいたりするのです

あらかじめ用意された
解答に対する問いかけは
とても息が窮屈で退屈なものだけど
それでも糸を繋げば
安定したような気持ちになって
今夜も眠りにつけるとゆうのだろうか

違和感の消えない言葉をはめ込むくらいなら
いっそ空白のまま提出した方が
誠実であるようなものだけど
あなたは沈黙を嫌って
あたしは覗かれることを恐れて
一度書いた文字を消すことが怖くて
今日も知らないふりして笑うの?

そしてまた気づかないふりして
去ってしまうんだいつも

うめあわせの解答欄の文字を
消し去ることが出来ないままに
意味を無くして只の音と化してゆく言葉達は
消化されずに宙に浮かんで
ずっとそこに取り残されたまま
結局何も伝わらぬままで





うそまみれ


嘘つかないで 隠さないで
欲しいものは欲しいと言えたらいいのに
無理しないで 我慢しないで
いらぬものはいらぬと言えたらいいのに

好きと嫌いがごちゃ混ぜになって
表と裏が裏返って
私は私を掴めないまま
年を重ねて自分の色が
分からなくなってしまいました

それと同時にあの子の顔もぼやけてしまうんだいつも
きみの名前が思い出せないのです

あの日優しさで差し出された
甘いお菓子が奥歯にしみる
無理矢理詰め込まれた言葉で
息が出来ない私は
もうじき窒息してしまいそうです

だから今すぐ吐き出さなくちゃ
呑み込んだふりしても早く吐き出さなくちゃ
消化できない言葉の破片が胸を刺す
痛い痛いとがったものは
食べるふりしてもちゃんと吐き出さなくちゃ

どうか私にこの身体を蝕む思考を取り除く
薬があるならばわけて下さい
熟したものは甘くてとても美味しいというけれど
そのまま干涸びてしまってはいけないのでしょう
腐るそのまえにどうかこの実を食してほしい
落下してゆくこの実が地面に叩き付けられて
はじけ飛んでしまうその前に…





縫い閉じられた絵本の秘密


頭の中にはいつだって名前も知らない女の子が
瞬きして上目づかい頬染めて笑い
伏し目がちに目をそらして誘うように逃げる
あたしはあの子の虜になって
気づけばいつも追いかけっこ

今あの子は何処に姿消したんだろう?

足跡追って 森に迷って
見つからないよ でも降参はなしよ

あの子は今湯気となって消えたの?
思い出が泡となって逃げたの?

いつまでも裸足でこうやって
土の感触ふみしめながら
一緒に遊んでいたかったのに
もうあの子に会えないならと成長を拒んだ

あの日出口を縫い合わせて
きみを閉じ込めてしまえば良かったのにね

けれどのびてゆく骨の音が
時が経ったとゆうことあたしに教えてくれました

あの日遊んだ小さなきみが
空想の世界へと帰って来てくれることは
きっともう無いのでしょう

大きくなったあたしのまだ小さな心臓に
白く大きな穴ぼこ残して
消えた娘の残像が
脳みそで今もなお揺れているのに…





痛く優しく冷たい嘘


優しいふりした介護ならいらぬ
笑ったようなふりしていても
のちのち涙が出るんです
ひとりでゆきます最後まで
散った花ならこの手でちゃんと
土へと帰すから

傘などいらぬ雨降りの夜に
それでも涙が出るんです
春を迎えた小鳥が笑う
土に埋もれた私の姿
それでも嘘ならいらぬのです

さようなら さようなら
はじめましてでまた会いましょう





↓・up・↓07.10.13

戦地の果て


流れには乗れなかった
行列にはならべなかった
あなたの言う言葉の意味が解らなかったの
押し付けられる正しさが苦しかったの
右ヘならうだけの行進は嫌いだもの

只好きなものに触れたかっただけよ
只嫌いなものが許せなかったの
生まれた頃のように笑いたかったの
生まれた頃のように泣きたかったの

只それだけなのに
たくさん壊して たくさんふさいで
たくさんねじれて
最初の最初を忘れてしまうんだ

敵だとか味方だとか
正しいとか間違いとか
ふさいだり傷つけたり
欲しいものはそんなんじゃないのに

触れられない 満たされない
届かない 分かり合えない
大事なもの何処かでいつからか
落としたまま
断絶では無く 新興ではなく
傷つけあうだけの戦いなど欲しくはなかった

戦いたくなどはなかった
戦いたくなどはなかった
戦いたくなどはなかった





赤い眼の兎


空想の中で遊んだうさぎが
ある日現実の世界に紛れこんで来て
あたしに話しかける

「なんで空は青いの?」
「なんで今日はこんなに寒いの?」
「明日はちゃんと晴れるのかな?」

あの日夢で遊んだうさぎよ
どうか言葉をもたないで
この世の垢に染まらないで
早く元いた場所へ帰って
また一緒に遊びたいよ

出口の縫い目を塞がなきゃ…
入口にしっかり鍵かけて
あのこをこの世界から守らなきゃ…

現実に染み込む空想の色
空想に入り込む現実の色
そのせいで夢の中まで汚れてしまう

「良い子のお面がはがれないの?」
「だからそれを守る為に平気で人に傷をつけるの?」
「守りたいものは一体どれなの?」
「あなたはだぁれ?」
「だぁれ?」「だぁれ?」「だぁれ?」

赤い目をしたうさぎが笑う

背中合わせの夢と現実が
はなればなれになって
もう重なることは無いのですか?

あの日消えてしまったあのこには
もう夢の中では会えないのかな…





土へ帰る日


戦いの印を右手に
戦闘の意思をかかげた
旗はもう泥まみれだ

手足の長い虫の行列
そこに息の音がきこえる
固い四角のコンクリート
冷たい肌触り
呼吸の音がきこえない

今口の中にへばりつく
灰の色した砂を噛めよ
片目を瞑れば見えてくるもの
両目を開ければ入り込む色
ぶれる世界 揺れる音
消えないで息の音

雨の日が続いて
退屈にお腹が空いたなら
帰っておいでよ土の中

古い靴を脱ぎ捨て
また裸足で大地を踊れるように

こんな汚れた空気の街で
生まれた頃の心臓の音は
今もちゃんときこえていますか?





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